学校に強いストレスを感じ、長男の体調と精神状態はボロボロになっていきました。私はそんな毎日を終わらせたいと強く思いました。
そこで、今まで特に対応のなかった学校と、話し合いをすることにしました。
前回のお話はこちらから。
今から10年近く前のお話。
学校や先生に対する批判ではなく、1つの経験談です。
学校側の考えが分からない
1年生の3学期から登校が不安定になった長男。
2年生になり担任の先生が変わると、嘔吐、給食、外出への不安は強まり、異常な喉の渇きや何に対しても不安になる、毎日繰り返している事でもできているのか確信が持てない、人の目を気にするなど、状態は悪化するばかりでした。
遅刻したらしたで、クラスに途中から入るのは長男にとって大きなストレスででした。
早退も自分からは言い出せない、学校に行ったらもう最後までいるしかない、というのも負担になるので、登校前に早退時間を決めることにしました。
早退時間を前もって決めておくことで、朝登校しやすくなるかなと思ったのです。
給食が不安なので、早退時間は4時間目が終わった後。
早退時間が分かっていても宿題や手紙は何日分かまとめて渡されました。
長男は宿題をやっていないと「怒られるのが怖い」と言い、夜遅くまでかかっても宿題は必ず終わらせて翌日全て提出していました。
「全部やらなくて大丈夫だよ。お母さんが明日話すから安心して。」と言っても
「駄目だよ。学校に行けない僕が悪いんだから・・。」と長男は意地になって宿題を終わらせます。
長男の負担になっていると気付いてくれないんだろうか・・と思ったりしました。
毎朝長男と献立表を見ながら今日の給食は食べられそうか、早退するかどうかの話をしました。
決まった内容を連絡帳に書きました。
献立表は何十回も見るので、破れてボロボロになり、それをセロテープで留めていました。
毎朝毎朝「今日はどうする?」の会話。
私の頭の中でも何度も繰り返され、きっと長男もそうだったでしょう。
私達はノイローゼのようでした。
連絡帳は先生のサインのみ。
遅刻して教室まで送り届けても、先生が廊下に出てくることはありません。
早退の迎えに行っても同じ。
毎日顔を合わせても、先生からの話は何もありませんでした。
私はほんの少しでも担任の先生と話せたらと思っていました。
宿題のことや家での様子、学校での様子を話し合えたら、何解決の策が見つかるかもしれない。
でもそれは叶いませんでした。
昔のドラマでありましたよね。
不登校となると、皆がその子にお手紙を書いたり、家まで迎えに来たり。
それがその子にとって良いのか、更なるプレッシャーを生むのではないか、ということが最近Twitterで話題になっていたのをみかけました。
私はなんとなく、そのような話が出るのかなと思っていました。
例えば家が近い子が迎えに行ってみては、とか、そんな話が先生からあるのかなと。
でも何もありませんでした。
長男のことは話題にもなっていないよう。
1人の生徒が毎日遅刻したり早退したり、欠席したりが、数ヶ月続いている。
これに関して学校はどうのように思っているのか、私にはまるで伝わってきませんでした。
長男が登校すると、無言でランドセルを片付け席に着きます。
何事もなかったように授業は続きます。
早退の迎えに行き、先生と目が合うと
「あぁ・・はい・・。」と長男に声をかけます。
帰り支度をする長男の周りには、沢山の子供達が集まって来て
「どうして帰るの?」「何で給食食べないの?」と聞いてきます。
「お腹が痛くなっちゃうの。だからしばらく給食は食べられないんだよ。」と私が言うと、納得した様子。
長男は無言で帰り支度をします。
早退するかはしないかは自分で決めさせた方がいいのかなと思い、先生に毎日長男に早退するか、しなくても大丈夫か声をかけて欲しいとお願いしたこともありました。
すると、毎日学校から早退の電話がかかってきました。
授業の合間にかけきてくれるのですから、申し訳なくてすぐに家で決める方法に戻しました。
「早退の時間を前もって決めます」と私が言えば(連絡帳に書くのですが)
「分かりました」
「前もって決めてしまうと毎日必ず早退になるので、4時間目あたりに長男にどうするか決めさせていただけますか?」と言えば
「わかりました」
「毎日早退のお電話をいただくようになってしまい、申し訳ないのでやはり家で決めてから登校します」と言えば
「分かりました」
私がお願いしたいことは全て引き受けてくれました。
ただ、学校側からの提案はなく、私は長男の学校生活の主導権を持ってしまったようで、どうしてよいのか分からなくなっていました。
長男は生活の全てが不安になりました。
明日は給食が食べられるだろうか。
先生に帰りたいと言えるだろうか。
お母さんは時間通りに早退の迎えに来てくれるだろうか。
もし忘れていたらどうしよう。
誰も僕に気付いてくれなかったら?
遅刻をしても、早退を前もって決めても、長男を安心させることはできなくなってしまったのです。
担任の先生と面談
私にはもう思いつく方法はなく、行き詰ってしまいました。
スクールカウンセラーの先生は、一度はしっかり話を聞いてくれたのですが、二度目の面談の時はあくびばかりして、私が途中で切り上げました。
この頃の私は、担任の先生とどう付き合っていけば良いのか分からずにいたのですが、あまりに状況が悪化していくので、面談を申し込みました。
しっかりと担任の先生と話すのはこれが初めてでした。
杏「先日の授業参観の日に、京介が給食を食べている姿を見ました。
緊張して口に運ぶのがやっとのように見えました。
京介は給食を食べたいんです。
全部食べなきゃいけない、という気持ちがとても強くて、絶対残したくないのです。
だから食べられない物が給食に出るのが怖いんです。
1年生の冬に外で気持ち悪くなって動けなくなり、とても怖い思いをしてから、特にも吐き気に対する不安は強くなりました。
精神的なものが食欲に出やすかったり、胃腸が弱いのは保育園の頃からです。
今は1日中吐き気があり、嘔吐が怖くて外出が出来なかったり、食べられなかったりと日常生活にも支障があり、嘔吐恐怖症になってしまったのだと思います。
給食を全部食べきれないと、最後まで残されて食べなければいけないと京介が言っています。最後の一人になったらどうしよう、と京介は怖くて仕方ないようなのですが、そのような決まりはあるのですか?」
長男の状態を必死に話しました。
どう話したら短時間で理解して貰えるだろう。
今日の話し合いで明日からの長男の学校生活が変わるかもしれない。
私の話次第なんだ・・。
責任を重く感じていました。
先生は、長男が給食を食べたがっているというのは信じ難いという様子。
先生「確かに食べきれない生徒を残した事はあります。
でも毎回ではないですよ。ある時はお喋りばかりして、給食を一口も食べていない生徒がいて、それで叱って残したことがありますね。
班で行動しますから、同じ班の子がそれで終われないと、一緒に残ることにはなります。
でも京介君を残したことはないです。」
杏「子供の事ですから、誰かがそうされていれば次は僕もそうされるかもしれない、と思うんじゃないでしょうか。
息子が、給食の時間にお喋りばかりしているという事はありますか?」
先生「無いですね。全く話していないです。給食の時間は緊張した顔をしていますよね・・。」
杏「先生から「残していいよ」と一言でいいので京介に言って貰えないでしょうか?いくら親が」「残していいんだよ」、「先生にちゃんと言っておくから」、と言っても学校の事ですから、「でも先生が駄目だと言ったら?」「お母さんの話を忘れていたら?」の繰り返しなんです。
私ではなくて、先生が仰ることでなければ京介は安心できないようなのです。
先生に直接「無理せず残していいよ」と言って貰えれば、京介も安心して食べられる分の給食を楽しんで食べられるようになると思うんです。
食べ物の好き嫌いは多い子ではないんです。トマトだけなんです。」
先生「それはできないですね。今、食育が盛んに言われています。
教師の立場として給食を残しても良いとは言えないのです。息子さんにだけ言うという特別扱いのようなこともちょっと難しいですね。
もちろん個人の意見としては、京介君が給食を残すのは全く構いません。
学校にとって給食の時間は学びの1つという感覚です。」
私は長男を特別扱いして欲しいとお願いしているんだろうか。
杏「食べられもしないのに、食育ってあるんでしょうか?
他の子がお喋りをしていて怒られたり、一緒の班の子も残されたり、食事や集団生活、連帯責任などの指導は必要なのかもしれません。
でも京介にはそれは超えた事情があると思っています。
食に関して、個人差はとても大きいと思います。
沢山食べられて足りないくらいの子もいれば、食が細くて食べられない子もいます。
それを1つにまとめて「食べ物を残してはいけない」と言うことは難しのではないでしょうか。」
面談は長男の教室で行われていました。
誰の席か分からないけれど、子供達が普段座っている席に私はいました。
視線を落とすと、そこに給食が見えてくるようでした。
ガヤガヤと騒ぐ声。
給食のお盆にのせられた食器。
これから食べなければいけないご飯、おかず。
手前に置かれた箸。
それを手に持ったら、食べ始めなければいけない。
先日の授業参観で見た、京介の目に映った給食。
眩暈がしてきそうでした。
杏「私は、食事って息子のように不安で緊張しながらすることではないと思っています。京介は、栄養や食べ物の大切さがと言う前に、食べる事を怖がっています。
常に吐き気があり、外出もできなくなりました。
先生個人のお考えでは無いとしても、学校の「給食を残してはいけない」という指導で、登校が困難な上、体重も増えないくらい食に関して考えが偏ってきています。」
先生は首を傾げながら私の話を聞いています。
杏「多分、多くの子供達にとって給食は楽しみな時間であり、それが不安と言う京介はなかなか理解するのが難しいのかもしれません。
今まで、なんとか学校の指導に沿えるよう努力してきました。
京介もどうにかして学校に行きたいと毎日言い、それでも行けない自分を責めるばかりです。」
私の頭の中に、家中に貼られた紙が浮き上がってきました。
前回のお話
「集団生活ではありますが、その枠に入れない部分をこれ以上無理矢理入れようとは思っていません。
嘔吐しやすい、不安が胃腸にきやすい、という体質は本人の努力ではどうにもならないものですし、それを解消することは今すぐにはできません。」
京介は小さかった頃の私のようにはさせない。
それと同時にモンスターペアレントの文字も頭に浮かびあがります。
「私が何より怖いのは、今の状況が続き、「今日は食べられた」「食べられない」とか、「学校に行けた」「行けない」とか、そんな毎日を繰り返すことで、京介が本当に食べることが嫌いになってしまい、そのまま一生生きていかなければならなくなったらという事です。
食は本当に大切です。
苦手な食べ物があって、いつか食べられるようになるかもしれません。
でも食べることそのものが嫌になってしまったら、取り返しがつきません。」
先生は沈黙の後
先生「・・ではどうしますか?」
杏「先生と息子で話をして頂きたいです。
何が不安で、どうしたいのか、給食を食べたいならどうしたら食べられるか、というのを2人で話して欲しいんです。
自分の気持ちがしっかり先生に伝わり、給食を辛く思っていることを先生も知っている、となれば、安心するのではないかと思います。
それでも給食の時間を安心して過ごせない、先生からも「残して良い」という事が言えないようでしたら、毎日給食の前に早退させます。
申し訳ないのですが、家庭でトマトを食べさせる練習や早く食べさせる練習はさせません。
本当に嘔吐してしまうので。」
先生「では・・毎日早退するようになったとして、他の生徒にはなんて言いましょうか?
他の生徒が色々言ってくるので、京介君も辛いかなと思っています。」
杏「今でも迎えにいくと取り囲まれて色んなことを言われます。
でも京介は「給食を食べるくらいなら何を言われても我慢する」と言っています。
子供達には、「京介はお腹の調子が悪くて食べられない」と言って下さい。」
先生「京介君が学校に来れなくても、学校としては特に問題ありません。
ですので、お母さんがこのようにしたい、というご希望がありましたら、そのように致します。」
学校に来れないことは、特に問題ではない。
京介の登校不安定が大問題だと思っている私とは真逆な考えだということを、私は受け入れました。
嘔吐は失敗?
先生「吐きそうと仰いますが、京介君は一度も失敗をしたことはないんですけどね。」
杏「失敗・・ですか?」
失敗って何のことだろう?
先生「嘔吐のことです。実際に給食を食べて吐いたことはないんです。
失敗してしまった経験があるのなら、次ももし吐いたら怖いというのは分かりますが、吐きそうでも吐いたことがないなら、この先も大丈夫なのではないですか?」
衝撃でした。
先生は給食を頑張って嘔吐してしまったら、それをを失敗と思っているなんて。
杏「朝は本当に嘔吐しています・・。それも頻繁にです。」
先生「でも学校ではありませんから。」
先生の声は遠退き、私はぼんやりと考えました。
あの日見た授業参観での給食の様子。
意を決して口にした給食。
吐き気が込み上げてきて、我慢しきれない。
そこから、朝嘔吐する長男が重なりました。
食べかけの給食の上に、こぼれた嘔吐物。
騒ぐ子供達。
真っ青な長男。
そこに先生がやってきて
「京介君、失敗しちゃったね。」
それが本当に起きたら、どれ程の心の傷が付くだろう。
取り返しのつかないことになり兼ねない。
そしてそれはいつ起きるか分からないのです。
ノートの文字
杏「京介の連絡帳や漢字練習のノートについてなのですが・・。」
先生「あぁ・・なんか、時々書き殴ったような字を書きますね。」
杏「突然始まったので驚いているんです。」
先生「本人に聞いたら、書くのが間に合わないようですよ。」
杏「京介は私にもそう言いましたが、あのような字になる時は一行目から荒れた字を書いています。
書き出すまでの準備が遅いということですか?漢字練習は、授業中に書いているのだと思いますが、他のノートも書くのが間に合わないのでしょうか?
入学時から「字を書くのが遅い」、と京介も言っていました。
でも他のノートで間に合わない時があるのか私には分かりません。
荒れた文字を書くのが連絡帳と漢字練習だけなのは何故なのでしょうか。
連絡帳と漢字練習の時だけ間に合わないような特別な状況があるのか、字が荒れる理由は他のことが原因なのか、どちらなんでしょうか?」
先生「・・どうなんでしょうね。京介君が間に合わないと言うので、そうなんだろうと思っていましたが。」
普段は普通の字を書く小学2年生の子が、ある時から突然このような字を書くようになった。
間に合わないから急いで書いたんだろうと、先生は本当に思っているんだろうか。
連絡帳と漢字練習の時の状況を聞いても、詳しい説明はありませんでした。
診断書はありますか?
面談中に言われて気になったことがありました。
先生「嘔吐恐怖症、というお話がありましたが、小児科での診断ですか?
京介君は、お腹の不調や吐き気で病院を受診したのでしょうか?
そこまでの症状となると、診断名はありますか?」
嘔吐恐怖症は私がそう感じていただけでした。
私は自分が鬱になり、この頃は精神科に通い出して5年くらいも経っていました。
沢山の本を読み、不安症、恐怖症についても調べました。
京介の吐いてもいないのに吐くことが怖くて外に出られない、食べられない、それによる体重減少や異常な喉の渇きは、単なる不安、というところを超えていると思っていました。
でも診断を受けたわけではなく、そのような診断名が医師からおりることは稀だということをネットや本で知りました。
杏「診断名はありません。小児科の受診は何度もしていますが、精神的なものなのは確かなので、薬を出されても整腸剤か吐き気止めくらいです。
となると、精神科の受診なのかなと思いましたが、子供はほとんどがの症状が小児科での診察となり、小児科のかかりつけ医は京介を赤ちゃんの頃から知る先生です。
「京介くんが持って生まれたものであり、うまく付き合っていくことが大切」と言われており、私もその考えに賛成です。」
私は自分がかかっていた精神科で長男のことを相談していました。
子供の精神的な不調って何科なのか、小児専門の精神科があるのか知りたかったのです。
私の主治医は「さぁ~?かかりつけの小児科で相談したらいいかもね。」という答え。
精神科を転々とした私は、精神科には少々うんざりしていましたので、長男を精神科に連れて行こうとはすぐに思わなくなりました。
先生「診断書ってもらえないですかね?」
杏「何の診断書ですか?」
先生「その嘔吐恐怖症という確定の診断書なり、お腹の不調なりのです。」
杏「嘔吐恐怖症という診断名を貰うことは難しい気がしています。小児科ではその診断は出ないですし、子供を診てくれる精神科を探してもいません。
それに、京介は病気ではないんです。小児科の先生もそう言いますし、診断書は出ないと思います。」
先生「そうですかー。診断書があれば、私も胸を張って給食を残しても良いと言えるんですけどね。」
杏「???」
先生「学校では診断書があるかないかで対応はだいぶ変わるんですよ。逆にそれがないと対応が難しいんですね。先程言った、特別扱いとの境目が難しいのです。
診断書というのは、誰の目にも見え、理由も分かりやすいですから。医師が決めたものですしね。」
なるほど・・・納得はしました。
でも長男には診断名などおりません。
だって、原因は明らかで、給食の時間を安心して過ごせればほぼ解決したでしょうから。
私がなんとか理由を付けて診断書を貰うことと、給食を残しても良いと指導すること、どちらが長男にとって良いんだろう?
京介に診断名がつくとしたら?
過敏性腸症候群?不安障害?自律神経失調症??
何にしても、この2年生になって数ヶ月の状態で診断書まで出るとは思えません。
私は混乱してしまいました。
最後の言葉
面談は終わりました。
私の頭の中はぼんやりと霧がかかったようでした。
伝えたいことは全て言えたんだろうか。
しっかりと伝わっただろうか。
「ありがとうございました。」と言い席を立つと、先生が言いました。
「お母さんは、京介君の全てを受け入れるんですね。京介君がどのような状態でも、そのまま受け入れるんですね。」
言葉の意味が理解できずにいると
「素晴らしいことだと思いますよ。京介君は幸せですね。なかなかできないことだと思いますよ。」と。
「いえ・・そんなことはないです。どうして良いか分からないので、今日もご相談させて頂いたので・・。ありがとうございました。」
真っ青な顔で嘔吐する長男の顔が浮かびました。
変わらない
面談を終え、毎日
「先生と何か話した?」と聞きましたが
「何も話してない」と長男。
面談で「京介と2人で話して欲しい」とお願いしましたが、それは叶いませんでした。
私の話はどこまで伝わったのだろう。
先生が言っていた言葉を思い出します。
「京介君、給食以外はとても元気なんですけどね。お母さんが話して下さる様子など想像できないくらいなんですよ。」
2年生になってから、先生は何度か私にこの言葉を言っていました。
「学校では元気。お母さんが言っているような様子は無い。」
本来喜ぶべきことなのに、私だけが大騒ぎしているような、空回りしているような虚しさが込み上げてくるのです。
家に帰って長男に「学校では元気で不安そうな様子は無いって先生が言うんだけど、行ってしまえば大丈夫だったりするのかな?」聞くと、「無理しているだけ」と。
先生の前でも無理しないでいてくれると話が伝わりやすいんだけど・・。
ある日、連絡帳に書かれていました。
普段は元気に過ごしているのに、給食となると途端に表情が曇るので、私も戸惑っています。
早退を決めずにお母さんが迎えに来なければ、意外とそのまま食べられてしまうのではないでしょうか?
そうしようと思ったわけではないのですが、実際にあったのです。
早退を決めずに登校。
学校から早退の連絡もない。
大丈夫なのかなと思いながら、下校時刻に長男は帰ってきました。
話を聞くと、3時間目の終わりにバタバタしていて、早退したいと言い出せなかったと。
そのうち給食になり、私も迎えに来ない。
どうして良いか分からないまま、何とか給食は食べたけれど、とても不安で怖かったそう。
「もう給食は食べたくない。」
先生も私も、原因は給食ではなくて他に何か悩み事があるのではないかと思いました。
しかし、長男に聞いても「心配は給食!」だと言います。
様子を見ていても、同級生とも楽しく遊んでいるし、成績は良くも悪くも、あまり気にしていないよう。
打たれ強いところがあり、忘れ物をしても注意されても、それでショックを受けて傷ついているようでもありません。
でも分からないだけで、本当は何かに思い悩んでいるのかな。
本人も気付かないような何か。
私はまた過去を辿ります。
今まであった沢山の辛かった事。
その中にいつも長男がいた事。
状況は面談前と何も変わりませんでした。
やめる決断
毎日献立表を擦り切れる程見て、「食べられるか」「何時に行けるか」「何時間いられるか」
気が狂いそうでした。
長男はもっと辛かったでしょう。
長男と先生の話し合いは行われず、給食については診断書が無いから対応できない。
先生からは
「お母さんが仰るように、給食はほとんど子が楽しみにしているものです。京介くんのようなお子さんは見たことが無いので、対応に困っています。」とも言われました。
それが学校としての意見なんだろうなと思いました。
長男の酷い状態の原因もどんどん分からなくなっていく。
給食不安だけでここまで酷くなるだろうか、という思いも強くなっていきました。
学校との協力は難しい。
荒れた文字。
私の頭の中は長男のノートの文字、給食を食べる長男の様子、面談の時の担任の先生の言葉、嘔吐、外に出られない長男。
頭の中では次々と浮かんでぐるぐる回り、それぞれがぶつかりあい、更に勢いを増して回ります。
幸い、私はこの子の親なんだ。
この子をどうするかは私に権限がある。
それが怖く重く思った日々もありました。
でも今は権限を持つのが自分であることが嬉しく思いました。
早退し、朝食と昼食を一緒に食べている長男に私は言いました。
「やっぱり、4時間目が終わったら早退と決めよう。京介ではなく、お母さんがそう決める。
献立を見るのもやめよ。食べないんだから見る必要ない。」
私は献立表をゴミ箱に捨てました。
その時、長男がこの数ヶ月で初めて、嬉しそうに笑ったのです。
「本当?もう食べなくてもいいの?」
「いいよ。もう疲れた。トマト1つでなんでここまでしなきゃいけないのかと思ってきたよ。」
長男は「嬉しい!ありがとう!!」と言いました。
私は驚きました。
何故そんなに嬉しいんだろう?
今までも何度も早退してきたし、遅刻もしたし、無理な日は休ませてもきました。
長男は言いました。
「明日は一時間目から行くよ!」
どうして急に?
でもここで期待してはいけない。
今までもずっと学校へ行きたいと言っていたんだし、それが朝になると行けないのを繰り返してきました。
遅刻、早退だって今までもしてきました。
私は長男の前で連絡帳を書きました。
これからは毎日4時間目が終わったら早退します。
暫くの間そのようにさせて頂きます。
面談でご相談させていただきましたように、子供達にはお腹が痛いことが理由だと伝えて下さい。
長男は嬉しそうにその連絡帳を見ていました。
まとめ
面談を機に、担任の先生と私とでそれぞれの情報を交換し、長男の為に今後どうしていったら良いのかを考えるんだろうと思っていました。
少なからず何かは変わっていくと思いました。
でも長男の辛い毎日は何も変わりませんでした。
学校側の対応を私はそのまま受け入れました。
多くの生徒を1人で見なければいけない学校の先生は、とても大変な仕事だと思います。
1人の生徒に集中して対応することはできないというのは、当然のことだと思います。
担任の先生に負担をかけることは避けたかったですし、私には何が負担で何が負担ではないのかも分かりませんでした。
その中で、先生が長男に対しどのように思っているのかを知れたことは私にとっては大きな前進でした。
学校は長男が学校に行けないことが問題ではないと思っている。
給食に不安を訴える子供の対応をしたことがないから、長男の対応に困っている。
それなのに、1から長男を理解してもらい、更に対応を考えていくにはあまりに時間がかかります。
その間も長男は不安と緊張の中にいます。
私は一刻も早く長男をそこから抜け出させてあげたかったのです。
学校側から特に対応は無いとなり私が動いたわけですが、結果的にそれが良い方向へと向かいました。
次回は長男が登校できるようになったお話を書きたいと思います。